秋立つ・・   8月18日’02

 お盆が過ぎれば涼しくなるよ・・。大体毎年がそうなので、今年もそんなことを言っていたら、台風の影響もあるのか、ほんとにめっきり涼しくなってきた。猛暑が一転今日の最高気温は23度、夏日が久々に途切れた。
 
 「天日燦として焼くが如し出でて働かざる可からず」
 70歳になってから小説を書いたーという阿武隈山の麓で開墾生活を送った吉野せいさんが『洟をたらした神』に続いて出した『暮鳥と混沌』の中に、混沌の言葉として載せてある。

 こんなに崇高な志があるわけでもない(あたりまえやん・・なんで大阪弁ー)けれど、夏の間は蒔き付け、植え付け、管理、除草・・とやることが目白押しだし、日が長いこともあって、それこそあさの5時前から夕方は7時過ぎまで目一杯殆ど日がなサウナ状態で働く。もちろん昼2時頃までは昼寝をするけれど。朝食前の朝仕事でもう汗をかいて着替え、昼に戻ってもうシャワーを浴びないことには居られない、そして夕方戻ってまた汗で着替え・・と日に3度も着替える。
 夏の間のあの動き方は(って高原は今はもう秋だから)、どうしてあんなに動けるんだ?って我ながら不思議になるほどに動くし、また動けてしまう。
 自然の動物、植物が、太陽のリズムで活動するように、野菜を育てながらウー十年きて、こちらも太陽のリズムに体のリズムが合ってきたということなんだろうか・・。
  
 今はひと頃より一時間以上は日が短くなり、標高1000mの高原のゆい農園は、気温の下がり方も大きい。畑の仕事も種を蒔ける品目も少なくなり、草取りも追われるほどではなくなってくるので、9月に入ればちょっと時間にも余裕が出てくる。

 今年の夏も終わろうとしている。夏の終わりは、畑の忙しさからも少し解放され涼しいいい季節になるのに、やっぱりいつも祭りの後の・・・のような気分になってしまう。物思う・・そして・・芸術でも生れればいいんだけど・・それにはね・・

 でもまだあつい夏が続いている。"夏の甲子園”。今この時しかない青春の一コマ・・。はじける歓喜の笑顔、流れる汗とつい零れ落ちる涙・・。今年のTV中継は特に(いつもそうだったか・・?)選手の表情をきめ細かくアップでとらえていることが多い。その表情ーこれまでの多分一日も休むことのない厳しい練習を経てきて今日があるその選手の表情は、ハッとしてしまうほど愛(哀)しいほどに深く美しかったりする。(・・なんて見方が違ってきてオバタリアン風・・なんて声はないでしょうね・・なんて自分でいってる)
 
 今年は娘の母校の佐久長聖高校が出場、2回戦で5点差を跳ね返しての逆転勝利だった。ベスト8は逃したけれどよくやった。娘は在学中、夏2度、春1度、ブラスバンドで甲子園に"出場”しているから、いいめぐり合わせだった。
 その娘の言うことには「甲子園は夏だよ!」 夏はまだもう少し続く・・。

 

 

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