必要なもの・・
   9月5日’09

 もう随分日も短くなり、そろそろ秋の夜長
・・・という季節になりつつある。
 まるで怒涛!?のごとくに、春から、種蒔き、草取り、土作り、植え付け、収穫・・・と、次々と追われるように作業が待ち受ける忙しさから、この時期はようやく、やや少し解放される頃になる。種蒔きも少々の葉ものを残して大方は時期的にもう終りとなり、また夜明けも遅い、日暮れは早い・・となれば時間的にも作業時間は短くなる。農作業は太陽と共に・・・だから。
 ・・・で、秋の夜長のこの時季は、少し心を静めて(傍目には?ボケーッとして)とりとめもないことをいろいろと考え?思ってみたり・・・秋はこんな‘贅沢’な時間も味わえる時。

 無農薬有機栽培に転換して20年が経つ「ゆい自然農園」には、長期短期の研修生や農業体験の方、農業に興味のある方等々いろいろな方がいらしてくださる。
 農業大学校というところで基礎研修をしながら時々農家体験実習ということで来られる、企業を早期退職し第二の?人生を農業にという方もいる。
 「こんなの売れないよな・・・と思いながら、必要でないものを売らなきゃならないのがこの社会だからな〜」 「貨幣経済の社会だから金が回らなければならないからね〜売る買うという行為がなければ金が回らないものね・・」「でも食べものは絶対に必要なんだよね」 「それってウンと納得できるよね―」
 いつも単純に思う。いろいろな人がいるんだな〜〜。いろいろなひとが其々のいろいろな人生を生きているんだな〜〜。

 8月末の土曜日、佐久平駅浅間口発7:00の高速バスに乗る。新宿西口スバルビル前に定刻9:40に到着。もうなんと40年前(おそろしい?数字)に東京暮らしを始めた頃の西口は、中央公園が広がり、京王ビルがポツンと建設を始めた頃で、ヨドバシカメラがバラックのような店舗で営業していた・・・んだよな〜〜。
 まず銀座に向かうべく、お堀沿いを眺められる中央線で・・と思ったのだが、地下鉄丸の内線の入り口が目の前、歩くのも・・で地下鉄で銀座に(正解だったかも)。暑い!(一応?入学した)東京写真大学(現東京工芸大学)の同級生だった富山在住の安念女史が第15回前田真三賞を受賞した砺波野の写真展を開いている銀座キャノンギャラリーに向かう。その昔、銀座は富士フォトサロン、ニコンギャラリー・・(他にも?)とコースでよく通った所でなんだかやはり懐かしい。卒業後二度ほど会っているけど、それでもウン十年ぶりの再会。ウン十年は吹っ飛んで気分は「その時」。心象風景ともいえる写真はどれも力作。フィルム時代からデジタル写真になって、より表現幅が増したといえるのかどうか・・抽象画のような挑戦的意欲的な作品もあった。となみ野の散居村は写真に残しておきたい風景だと言っておられた。「でもけっこういろいろ大変なんよ」・・富山弁。
 帰りの小さな飲食店が並ぶ路地で、皆さん総出で水を流したりしながら掃除をする光景にあう。

 その後渋谷で高校の同級生に会うので、銀座線に乗る。1時の待ち合わせが都合で2時になったので、時間がある。渋谷はあまり馴染みがないので、新宿に。その昔(なんだよな)よく来た「さくらや」や「ヨドバシカメラ」は今は殆ど携帯屋さん風。カメラは3階にほんのお飾り程度に置いてあった。
 お決まり?の紀伊国屋であちこち眺めながら立ち読みをしたり。文春新書の「遺伝子組換え食品」を買う。パラパラとめくったところ、やや肯定するような内容のようでも・・。ちなみにこの新書の「農民になりたい」ではゆい自然農園で研修して独立した藤井さんが紹介されている。

 ランチの予定なので、何も食べずに渋谷に。故郷山形の米沢興譲館高校の同級生3人とランチ。「キリン」でマイルドまろやかな優しい味のビール二人、水二人で乾杯。嬉しいナ――、こうやって会うことができて―。山形庄内豚の焼肉ランチを迷わず注文。美味しかった。
 本人曰く「爆弾を抱えている」身体のK君が気がかりだったのだが、旺盛に仕事をこなしているようで、がんばってるんだな〜とこちらが元気付けられるような・・でした。
 
 その後、中野サンプラザに。このお誘いがあって、出かけようと思った今日のメインイベント!?―「池田陽子先生の退職を祝う会」―池田先生は(・・といっても何も無いのよーの)名誉教授になられた。100人以上はいるのでは・・という盛大な祝う会であった。池田先生のその若々しさには驚くばかり。小柄な身体にパワーあふれるバイタリティーと気さくさと明るさと――のお人柄と人望がその人数にも表されているようでした。文楽人形の写真を撮り続けておられるので、先生のサプライズの参加者へのプレゼントは『人形浄瑠璃文楽」の生の舞いであった。初めて見る人形浄瑠璃の「三番叟」。こういう芸術もあるのだ・・なと・・。国立劇場なら○万円(○千円どっち?)よ・・とか・・。
 私達の学年は8名の参加。やはりその当時に帰って同じ時を過ごした者同士心和み笑顔を交わす。下呂温泉の観光協会理事をしている人もいて、「下呂温泉に行こうよ」―「長野にレタスを食べに行こう」―とか、「ここだけちょっと浮いてない?」とか言いながら楽しい時を過ごす。まあ社交辞令でも嬉しい。実現したらなお嬉しい。
 泊まりたいところを押さえ、二次会もパスして、東京発21:04発の新幹線に乗る。佐久平駅22:27着。23:00ちょっと過ぎに自宅に帰着。
 何だかとても濃密な一日を過ごした感。疲れも全く感じず、逆にエネルギーをみんなにいただいたような―。  明日は白菜を植えなければ・・。

 

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