表示のマカフシギ・・? 1月31日’03

 近所の農家の熟年!? の女性が5人ほど集まって、畑仕事がない冬の間、漬物でも作ってこの辺の直売所やスーパーなどで売ろうか・・という話になり、この冬からぼちぼちと動き始めた。
 農業もご多分にもれず?大変な時代。この辺りでもJAを通して市場出荷をしている農家の中には、トラクターなどの大型機械や農業資材等の経費負担が販売価格に見合わずに借入金が嵩み、農地を手放す―という事態になる人も出てきている。そういうこともあり、冬の間、何もしないでいるのなら(ゆい農園は冬も動きますが―)、少しでも何か収入を得るものを・・ということから始まった。

 会の名前は「あじ菜会」。ただ味の会ではつまらない、それじゃイキなアジな・・のアジなで、菜っ葉を作っているから、「な」は「菜」にしようということで決まり。どなたかが、「縁はいなものあじなもの・・と言うしね」とかおっしゃられ、どなたかには、「あじさい会」と読んでいただきましたが、まあそれでもいいです。
 野菜は自分たちで畑で作れるから、いくらでも融通できる。それは強みだろう・・と。

 今年は手始めで反応を見たり様子見の段階というところだが、「赤かぶの甘酢漬け」「セロリの粕漬け」と「長芋の梅酢漬け」を少し、それと「花豆煮」をやってみた。長者原地区は標高が高く(〜1000m〜)、昼夜の温度差もあり美味しい野菜が取れるところなので「長者原霧下の味」というコピーを入れてラベルも手作りした。
 地元のスーパーや日帰りの温泉施設、直売所などに頼んで置かせていただいて、売れ行きもまずまずのようで、ちょっとうれしいかな・・というところ。大量生産には程遠いからしれてるといえばしれてるのだが、それでも始めたばかりにしてはまずまずかな・・と。

 始める時は、けっこう気軽に考えていたのだが、クリアしなければならないことがいくつか出てきた。
 まず直接個人対個人のような形で売るのならお互いの了解であまり難しいことはないのだが、卸という形でいろいろなところで不特定な方々に売る―という場合は、製造する場所が保健所の許可のあるところでなければならないということがあった。それではどうしようか・・と考えて、 町の施設だが運営は任意の組合(多分そうらしい)が第三セクターのような感じで行っているところがあるので、とりあえず? そこを借りて行うことにした。
 他のグループも使っているので、(一緒にやらないか・・とか言われたが、一緒に吸収合併じゃおもしろくないものね・・と別にやることにした。)調整して使う日が重ならないようにということであった。
 事務局(のようなもの・・?)が町役場の農政課にあり、使う時はそこにその都度キーを借りに行く。「度々使うのであればスペアーを用意します。」・・という話をされている割にはなかなかスペアーを用意してくれず、最近はしばらくキーを借りたままになっている。
 そこは町内とはいえ、車で20分ほどかかる。冬の雪道をその都度通うのもけっこうな労力ではある。メンバーの一人のダンナさんには、「命がけでやるんかい・・」などと感心半分あきれられたが・・。
 
 次は表示のラベル作り。製造者が実際の製造者である「あじ菜会」とはならず、その施設の許可を取っている人の名前になる。したがって、『製造者 望月町観音峰活性化センター T○○Z○○』となるのだとのこと。
 あじ菜会は販売者ということになる。へーそういうことか―、と勉強!? しました。要するに何かあったら困る、そして万一何かあったら誰が責任を取るのか―ということを明示するということなのらしい。(責任を取る・・というのも何だか不思議な言葉のような気がしないでもないが・・。よく責任を取って辞める・・とか聞くが、辞めることが責任をとること?などといつも思ったりする。)
 その許可を取っている方は、活性化センターの組合長さんなのだが、もちろんそこでその方が漬物の製造をやったり、クッキーを作ったりするわけでもない。だが、そこで作られて売られるものは、“表示”ではすべてその方が製造者ということになる。よくよく考えれば(考えなくても?)ちょっとおかしい。実態とは合ってないのだから・・。
 私たちはお電話は差し上げましたが、組合長さんはとてもいい方のようで、「直接挨拶などいいですよ。皆さんに使っていただいたほうがいいのですから・・」というお言葉で、直接お会いしたこともない方のお名前を使わせていただいているわけである。
 ところが・・ところが・・、先日その方が急死されてしまわれました。びっくりして、いろいろご助言などをいただいていた町の商工観光課のS課長にお聞きしたら、「新しく組合長が決まるまで表示はそのままになるわいな・・」ということで、何と今は亡くなられた人が製造者というまことに不思議な“表示”になっている。一ヶ月経っても次の組合長さんが決まる様子もないようだ・・。いつ決まるんだろう・・?

 そしてまた表示には「賞味期限」を明示しなければならない―ということになっている。
 賞味期限・・これでスーパーもけっこう困っているらしい。この日付が1日でも過ぎれば廃棄処分しなければならないからということで―。
 漬物の賞味期限・・さてどうしよう。家庭では、漬物などは「少し酸っぱくなったぐらいが美味しい・・」という人もいるぐらいなもので、自分の舌で感じて、「これは食べられない」といえば捨てる・・で済む。きっちりとここまでが賞味期限です、この日を過ぎれば食べられません・・などどいう日ははっきりいえばない。(これ語弊があるかな?)
 でも店で売る―となれば、やはりここまで・・という期限を付けなければ決まりがつかない。まさかお客さんの舌で決めてください―というわけにもいかないのは当然のことだし・・。
 そこでいつにしよう・・と悩む?ことになる。「冬の間位は当然大丈夫だよね・・」とか。最初は「袋詰めしてから一ヶ月位にしとく・・?」ということで、袋詰めから一ヵ月後にしたら、地元のスーパーの社長から「もう少し長くしてもいいんじゃない―」とのお言葉。それで次は二ヶ月伸ばした。記された日付けが賞味期限になる。(これって書いたら差障りがあるでしょうかしら?)


 漬物は、同じように漬けてもその家その家で味が違ってくるものである。その家に棲んでいる菌が違うからだそうだ。その菌が味わいのある美味しい漬物にしてくれる。だから農家の納屋などで作られる漬物が本当は一番美味しいのである。コンクリートに囲まれた無菌のようなところでは微妙な味の美味しい漬物にはならないらしい。でもスーパーなどに並んでいるのはそういうものが多いようだ。
 そういえば私が東京に住んでいたンー十年前は、店先にむき出しの桶に入った糠漬けやなら漬けや塩漬けの漬物を好きな量だけ量って広告などで作った袋などに入れて売ってくれた。けっこう美味しかった。賞味期限などはどこにもなかったが、それでお腹がいたくなったとかどうにかなったなんてことは全くなかったものだ。
 
 わざわざ色を付けて色鮮やかにしたり、保存料を使って腐らないようにしたものの方が堂々と!? 売られ、売るほうも腐らないということでどこか安心したりしていることがないだろうか。
 何だか表示が“キチンと”なされるようになっったら、逆に何かがマヒしてきているような感じがしないでもない。

 何かを一歩踏み出すといろいろとおもしろい!? ことに出合ったりするものらしい。あじ菜会も細々とでも続けていけばおもしろいかも・・・。
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