青春時代は・・  7月17日’02
               
 出荷作業は、大体いつもNHKの第一放送を聞きながらやっている。
 9時台10時台は、大抵いろいろ多方面の方々のお話を聞くというインタビューふうな番組で、これもけっこう興味深かったりする。
 今日は、音についての話で、自然の音は重なっても不協和音のようにうるさくならない。たとえば雪融けの水音など自然が一番の音楽・・というような話。
 またイタリア政府公認というイタリア料理のシェフの方が夏の料理の紹介をしておられ、トマトとモッツァレラチーズを適当に切って交互にきれいに円く並べ、上にバジルの葉を散らして塩とオリーブオイルを振りかけるサラダに、イタリアのむずかしい名前がついていたのなどが紹介されていた。シンプルでいいじゃん・・と思って聞く。何てったって料理はシンプルが一番!と思っている人(私)だから・・。

 そういうふうのが続いて、そしていつも11時半からは、いろいろな本をいろいろな方が朗読して聞かせてくれる「私の本棚」の時間になる。
 今は先日から谷川俊太郎さんの詩に、哲学者の長谷川さんという方がエッセイを付けられたという本の朗読で、谷川さんの詩はやや?若い男性のアナウンサーの方が、長谷川さんのエッセイはやや?年配のやや?渋い男性の方が朗読している。
 
 とぎれとぎれに聞いているなかで、青春時代は自分をもてあます時・・というような言葉が耳に残った。
 そういえば以前に、森田公一(だっけ?うろおぼえ・・)とトップギャラン(でしたっけ・・何しろ記憶力があやしい・・)が歌っていましたっけ、♪青春時代が夢なんてあとからほのぼのおもうもの 青春時代の真ん中は道に迷っているばかり・・・♪
 こんな言葉が耳に残ったということは、そんな覚えがあるからだろう。道に迷って自分をもてあましていた・・。何気ないことに必要以上に勝手に傷ついたりもして・・。自分がいったいほんとうにやりたいことは何なのか・・とかとか・・。
 
 中学2年の時の教育実習の女性(名前だけ覚えている、碧さんといった)、小柄でかわいらしい彼女が、北海道に一人旅をしてきた話をしてくれた。その時の私は、えー女性も一人旅をするんだ・・というかるいショックをうけ、私も一人旅をしてみたいと思ったりした。ビートルズが初来日した年だ。
 そして私の初めての一人旅は、高校を卒業して東京の写真大学に入った年の夏休み。北海道へ向かった。青函連絡船の船底に乗って・・。大学ではワンダーフォーゲルに入り下北半島を歩いて一周したりもしていた。(折りしも三沢高校が松山商業と延長18回再試合とかいうドラマを作っていた。) そんなことで、カニ族(リュックを背負って列車の中を横に歩く)全盛の頃でもあり、リュックを背負ってきれいとはあんまりいえない格好にも抵抗はなかったし、北海道のユースホステルにもそんな若者があふれていた。函館、襟裳岬、知床、羅臼、網走、旭川、札幌・・、今でもその時の光景、いろいろな人達との出会いがまざまざと思い出される。
 その後も、佐渡島や山陰、隠岐ノ島などを廻ったりし、アルバイトの金はすべてその費用になった。山陰、隠岐ノ島は、ワンダーフォーゲルで雪崩にあうぞ・・などといわれながら、3月桑名から敦賀へ伊吹山を通って歩いて本州横断した(誰が考えた・・)帰りに廻った。この旅も心に残ることが多くあった。
 五木寛之の「青年は荒野をめざす」の通り、男の友達の何人かがシベリア鉄道でモスクワに入りヨーロッパを貧乏旅行したりしていた。さすがに?私にその勇気はなく(女性で行ったというのは聞いてない)日通が写真大学の学生、OBを募っての2週間のヨーロッパ旅行に参加した。大体は何人かのグループで行動したが、あちこち都合半分位は一人で歩いたりした。
 どうしてあんなに旅に出たかったのだろう。日常と違った」空間に身をおきたかったし、何かをもとめて(これも歌にあったけど・・)いたと思う。その何かが何なのかも含めて・・。でも今もあんまり変わってないような(もちろん?なかみ)気もするんですけどね・・・。

 希望の旅行会社の旅の本の編集部に勤められたのも運がよかったし、農業をやりたいと思って偶然読んだ新聞がきっかけで今農業をやっているのも、やっぱり運がよかったといえるのだろうと思う。そして農薬を使わない農業をやりたいと思って今それができている。ありがたいことだと思う。
 
 今、農業志願の若者が増えているという。増えているというのはどの程度をいうのかはわからないが・・。かつて私が都会に出て農業の良さを再確認したように、都会に住む若者の農業志願が多いらしい。
 先日北海道からメールをくれた女性も、大学卒業後会社に勤めたが体調を崩し会社を辞めた彼女も、道をさがしながら、ゆくゆくは農業をやりたいのだと言っていた。
 農業で生活していくのは大変・・、雨や風、夏の炎天下・・農作業は甘くない・・・と、多分実際に農業をやっている人(私もだけど)は、止めといた方がいい・・というかもしれない。
 でも大変でも何でも、私は、やりたいと思ったことをやった方がいい・・というのが基本。きれい事かもしれないが、お金と豊かさはイコールではないと思うし、農業には暮らしようで別の豊かさを得られる可能性に満ちていると思う。
  
 だがやはり農業の外から農業に就くのは土地の問題など難しいことは多々ある。
 今は就職の超氷河期。農業に就職する・・という形をとれる農業の法人化なども考えていかなければならない時代なんだろうか・・などと考えたりもするときがある。でもな
ー、企業的な農業では、農業をやる意味がまた別のものになってしまう気もするしな・・。考えてみる・・だけでとどまってしまうのだけれど・・。
 

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