田中知事ゆい農園に  12月20日 ’03

 電話を受けた啓盟
サンが「田中知事が来るらしいよ・・・、そういえば来るとか言ってたな・・」
 なんだかこころもとないが、「エーッ!ほんとに―!」 びっくり、青天の霹靂である。
 16日に、農業改良普及所の方が三人、県の方が一人、下見がてらの簡単な打ち合わせに見えられ、それでようやく本当だ!ということが判明する。
 
 そして18日の当日。知事現地視察のゆい農園の予定時間は2時40分。その日は快晴とまではいかなくとも、太陽も時折雲に隠れたりしながらも顔をのぞかせていた。翌日からはまた強い寒気が入るらしいから、今日こそキャベツを取り込まなくては畑でだめになってしまう。・・早く取り込んでしまおう―。で、朝の冷え込みと日中の気温も上がらずで氷が付いたままのキャベツを午前中に収穫しそのまま畑に並べて置いたのを、昼食もそこそこにコンテナに詰め軽トラックで室に運び込む。知事到着まで間に合った―、まだ時間がある―、それでは明日の出荷のブロッコリーを穫っておこう(午前中は凍ってて穫れない)・・と思って小屋に取り込んで、2時40分までまだ10分ほどあるな・・と思っていたら、車が続いて到着する。
 「あれ―もう着かれたのかしら・・」と思うやいなや、まさに正真正銘の(?)田中長野県知事が車を降りられてご一緒の方々に何かしら話をされながら歩いて来られる。ちょっとあわてる。いつもの仕事着のままでお出迎えすることとなってしまう。まあそれもいいか―。
 家の中に居て同じくあわてたふうに出てきた啓盟
サン共々、なんだか二人して丁度の挨拶も出来ず仕舞い・・という感じでちょっとなさけない。改良普及所の方々、県の農政部の方々、そして秘書課の方々・・がご一緒されている。県農政部の部長さんがやや遅れて到着される。なんだかすごいメンバーである。いいのかしら・・・。

 16日の打ち合わせの時に、「同じ有機農業をやっている方たちにも声をかけて集まってもらいましょうか―」というようなことを言ったところ、「時間も短いし今回は由井さんの話をということで・・」ということだったので有機農業の仲間には結局来てくれるようには声をかけなかったのだが、地元の県議の方(女性の方で、選挙の時に知事の応援があった)が連絡されたとのことで、望月町議の方や他の方なども何名かお見えになり、しかしてけっこうな人数の方がお集まりになられた。

 露地の畑には今はほとんど生育中の野菜はないので、ほうれん草や小松菜などが生育中のハウスを見ていただき、次に堆肥舎と根菜類などを貯蔵している半地下の室にご案内する。
 知事はずいぶんざっくばらんで、そもそもなぜ ゆい自然農園 に現地視察ということになったかということを知事は「青山のナリサワさんのところに行ったところ野菜がとても美味しく望月のゆい農園の野菜だというのでそれじゃ行って見なければ・・ということで来たんだよ―」ナリサワさんからはお電話をいただいていた。

 そんなこんなで(どんな?) 何が何だか訳がわからない・・というような感じで、けっこうあわただしく30分ほどの視察で、その後は蕎麦処「職人館」で知事と懇談という段取りということであった。懇談は啓盟
サンのみなので(ちょっとひがみ!?・・)、どういう話になったのか、いつも話をほとんど(・・というよりまったくに近い)しない啓盟サンはこの時も例外ではなく、私には知る由もなかったのだが―。
 

 ゆい農園が無農薬栽培に転換したのは1988年、まだバブルも完全に弾ける前で、また環境問題なども関心が高まっている時であったので、いいタイミングで転換できたといえるのかもしれないし、無農薬野菜の宅配―というのもまだ今のように多くはなかったように思う。
 やりたいと思っていた有機農業に全面的に転換しようとは決心はしたものの、最初は内心「ほんとうに無農薬で野菜が出来るんだろうか・・」という不安も少なくはなかった。・・が、やってみると「案外出来るじゃない―」ということで、実際無農薬でもちゃんと野菜が、それも味の良いものが穫れるのである。
 それまでも有機質の肥料はけっこう入れていたし、土も野菜作りに適した水はけが良くしかも水もちが良い黒ボク土が主。標高1000mの気候は昼夜の温度差がある冷涼な気候で、しかもここは日本でも最高の日照の多い地域になる。・・ということで有機農業には最適のところではないだろうか―と思う。

 先だって訪れた新潟県能生の宿の、漁師でもあるご主人が言っておられたように、「山が豊かでなければ海も豊かにならない―」 山国信州はその意味では責任があると言ってもいいだろうと思う。
 気候も冷涼で有機農業に適した信州に、もっと有機農業が広がり、願わくば「有機農業の県」にでもなれば、環境にもいいだろうと思う。
 農薬、化学肥料を使った大型農業をやっている方々も、生活をかけてやっているので、無責任なことは言えないけれど、連作のため土壌に注入する土壌農薬が揮発してとても匂ってきたりする時など、人体への影響もさることながら、子々孫々へつなぐ環境への影響はどうなんだろうと気になってしまう。
 有機農業の長野県――いかがでしょうか・・・

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