鶯はどこにいった・・  6月6日’02

 どうしたことでしょう・・? ウグイスの声がまったく聞こえてきません。今日は鳴くか・・今日はどうだろう・・と聞き耳を立てているのですが、これまでさっぱりなのです。というのは正確ではないかな・・、正確にはずいぶん前に二度ほど消え入るようなか細いまだ鳴き方も上手じゃないウグイスの声を聞きました。それっきり・・です。
 いつもの年なら、カッコーとウグイスが呼応するように鳴き交わしているのを、季節を感じて心地よく聞きながら畑仕事をする・・というのが、初夏の慣わしだったのですが、今年はそれがカッコーだけ。それも何羽もというのじゃなく聞こえてくるのは大体1羽だけのような鳴き声のみ。
 ウグイスが鳴くのは(他の鳥もそうかな・・)お相手をさがしてーということを聞いたことがあるように思うのですが、まさか今年は皆早々とお相手が決まったーということでもないでしょうに・・。

 でも先日恒例の大豆の種蒔きをした五人百姓の皆さんがお宿にしている山荘(同じ望月町内だが車で20分程離れている)周辺では、もううるさいぐらいに鳴いていたーということでしたから、鳴いてる所では鳴いているらしい。それが長者原ではさっぱり・・なのです。
 いったい長者原のウグイスたちは、どこへ行ってしまったのでしょう・・。

 今、陽が昇り日中暖かくなってくると、一斉に近くの山で鳴きだすのが、エゾハルゼミ(たぶん)。うるさいとはまったく感じませんが、それはもうにぎやかに聞こえてきます。春早々から例の甲高いにぎやかな声で鳴き始めたヒバリはまださえずっていますが。

 ウグイスだけが、それも今年に限ってーというのは、本当にいったいどうしたんでしょう・・。
 
 ゆい自然農園がある長者原のこの地帯は、高原野菜のちょっとした産地。殆どの農家が、JA(農協)を通して市場に出荷しています。
 市場に出荷するーということは、否応なしに規格選別して、虫食いもなく形もキッチリ揃った見栄えの良い"商品"を生産することが求められます。それには、転ばぬ先の杖・・ならぬ、虫が付く前の殺虫剤、病気になる前の殺菌剤、草が生える前の(これは生えてからかな・・)除草剤(これも多種)−ー、予防散布だから勢いよけいに農薬の量は嵩んでくる。

 それに、野菜は水田の米と違って、同じ科の連作はきかないのだが、市場に出荷する野菜は往々にして単一大量生産(機械化に合わせるにはそのほうが断然効率がいい)になるから、どうしても連作連作・・ということになってしまうことが多い。
 連作できないのを無理して連作するから、今度は土壌の中にも菌を殺す農薬を注入する。クロロピクリン・・などらしいが、これらは揮発性があり、農家はマスクをして自らに害がないように注意をはらいながらの作業になる。サリンと同じらしい・・などという人もいるぐらいのものをである。これから暑くなってくると、農薬散布の量もそれは生半可じゃなくなる。冗談じゃなく・・である。
 
 そんなことに大いに疑問を感じて、ゆい農園は14年前に完全に無農薬少量多品目栽培に切り替えたのですがー。

 ウグイスがいなくなった(鳴き声が聞こえない)のは、農薬などの影響ではないことを祈る・・ような気持ちですが、農薬のことは、やっぱり消費者の方々の意識が高まることが一番の解決策のようにも思います。
 それはまた命を産む女性の意識がまずもって・・。安全性!が優先順位一番・・となるように・・。
 そうなれば作るほうも変わってくる・・でしょうから・・。

  

HOME  「気まぐれなエッセー」トップに戻る